北欧マインドに出会うスウェーデンのクリスマス

予備知識もない中、はじめて訪れた北欧はクリスマスが始まる11月末でした。

冬の北欧に戦々恐々としていましたが、その時体験したエピソードをお伝えします。


極寒を生き抜く北欧のポジティブシンキング

スウェーデンのストックホルムには、中世の雰囲気がのこる旧市街地のガムラスタンがあります。ガムラスタンにある広場では、毎年クリスマスマーケットでにぎわいます。

そこを訪れた時のことです。

朝から降り続いた雨がとうとう雪に変わり、たまらず寒さをしのぐため、目についたお店に飛び込みました。

あいさつ代わりに「寒いです、雪が降ってきましたよ!」とネガティブな意味で店主に話しかけました。すると店主から「それは、よかったです」と思わず聞き返してしまうような返事が返ってきました。私が驚いていると、続けて店主は、「月の光や窓からの照明が積もった雪に反射してキラキラするでしょ、夜道が明るくて美しいですよね。」と笑顔で話してくれました。

雪、寒い、べちゃべちゃ、交通マヒ…嫌なものと思い込んでいた私には衝撃でした。それから東京でも雪が降る度に必ずそのことを思い出すようになりました。

その言葉の通り、真っ白な雪が降り積もった石畳は、お店の窓からこぼれる電飾の灯りが反射してガムラスタンのクリスマスマーケットをより一層魅力的に見せていました。

北欧では長く続く暗くて寒い時期を少しでもここちよく過ごすための工夫が暮らしの中に垣間見れます。このようなポジティブな変換が幸福度に繋がっているのではないかと思っています。


北欧(スウェーデン)のクリスマスはどんなことするの?

・クリスマスを待ちわびるアドベント

12月25日の4週間前からクリスマスシーズンが始まります。2022年は11月27日からすでにクリスマスシーズンが始まり準備を楽しんでいます。

4本のキャンドルを1週間ごとに灯をともします。このキャンドルのことをアドベントキャンドルと呼びます。

1週目の第1アドベントを皮切りに、街中がクリスマスデコレーションに彩られます。ホテルやデパートのショーウインドウやスーパーにもクリスマス用品が並びにぎやかになります。

子どもも大人も、クリスマスを迎える準備をしながらいまかいまかと待ちわびながら4週間を過ごします。


・クリスマスだから食べる特別なお菓子とルシア祭

クリスマスシーズンに用意する特別なお菓子と言えば、サフランで色付けされ両端は渦巻き形状したルッセカットという名のパンです。12月13日(旧暦では冬至)には光の聖人を祝うお祭りとしてルシア祭が催され、このパンを食べる習慣があります。

12月13日の朝には、子どもたちがルシア祭の白いガウンとキャンドルを立てた王冠を付け、「サンタ・ルシア」を歌いながらルッカセットとコーヒーを両親の寝室へ運ぶ習わしがあります。ちなみに現在は頭につけるキャンドルは電子キャンドルが主流だとか。

この日は街や教会でも、子ども達が白いガウンをまとい歌を歌いながら可愛らしく行進する様子を見ることができるかもしれません。


・やさしさであふれるお家のクリスマスデコレーション

クリスマスシーズンになるとスウェーデンでは星型の照明を街の通りや店のショーウインドウへ飾ります。個人宅でも例外ではなく皆、窓際に星形の照明とアドベントキャンドル、もみの木のフラワーアレンジメントを見ることができます。

また、スウェーデンのクリスマスでは外せない「ユールトムテ」を部屋のあちらこちらに愛嬌よく飾ります。赤いとんがり帽子をかぶった妖精は、寝静まったころ働いてくれたり、困った時に助けてくれると信じられています。


どの家庭もクリスマスは特別な行事として窓辺をデコレーションします。このデコレーションですが、窓の外から見て美しく見えるように飾られていると伺いました。

暗い冬の夜道、光に気づきふと窓を見ると、そこには幸せな暮らしを連想する風景がある。冬の家路を急ぐ人々が少しでもほっと安らぐように。

窓辺を美しく飾ることは、道行く人へのやさしさのおすそわけだとスウェーデン人の友人は話してくれました。


・北欧ではクリスマスもサステイナブル?!

サステイナブル先進国といわれる、スウェーデンのクリスマスはどうでしょうか。

クリスマスマーケットで売られるもみの木ツリーもオーガニック認定を受けたものを選んでいるそうです。数年前に訪問したクリスマスマーケットでオーガニック認定を受けたもみの木やリースの山に、これもオーガニックなんだ!と驚きました。

なんでも日本で主流のプラスティックツリーには使用反対運動もあるとか・・・

生もみの木が主流でない日本では、同じように取り入れることは難しいですが、例えばフードロスの観点で、家族が食べられる量だけ厳選してお祝いの料理を用意することならできそうですね。私も今年は気にかけて家族でクリスマスをお祝いしたいです。


まとめ

一年で一番昼が短い時期ですが、スウェーデンのクリスマスからあたたかな灯りと知恵からうまれた温もりに満たされました。

今年も素敵なクリスマスになりますように…


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新倉 暁子 (ニイクラ アキコ)