8月の本『プリズム Prism』

この夏は観測史上“記録破り”の暑さだというのですから、未体験の暑さです。


 暑さしのぎのアイテムとして、グレープフルーツの香りの衣類用冷感スプレーを購入してみました。外出前に、服の上に適度にスプレーをすると、爽やかな香りとシャツがシャリッとするひんやり感覚が、つかの間暑さを和らげてくれます。


 夏といえばこの本かな、と思い浮かぶ何冊かの本。ですが、今回は過去に読んだ本は置いておき、新刊本を紹介します。新しい本が新鮮なうちに!


8月に紹介する本は


『プリズム Prism』

著者 ソン・ウォンピョン

訳 矢島 暁子

出版社 祥伝社

出版年 2022年7月


 タイトルと装画が目にとまり、スッとこの本に手が伸びました。プリズムをかざす女性と、黒色の背景に七色の光がちりばめられた素敵な表紙です。


「夏」の章から「真夏」の章へ続き、秋、冬と季節をたどり、1年後の「再びの夏」の最終章まで、韓国ソウルを舞台に、4人の男女の心の動きを描いた物語です。


 偶然の出会いと再会でつながった4人。心の内にある恋愛感情はすれ違い、ようやくつながった思いは、あることをきっかけに断ち切られたまま季節が過ぎてゆく。。。


 韓国に馴染みのあるかたは、情景と重なり読みやすいと思います。


 読み終えて、巻末の著者の言葉のなかに、「恋愛小説とはいっても、登場人物の恋愛の成否ばかりを詮索する話は書きたくなかった。」という一文があり、恋の行方を詮索しがちな私に、良い意味での指摘をもらった気がしました。

 

どこかひんやりとした空気をまとい、静かに余韻の広がる物語。暑さを和らげる1冊になったら良いなと思います。


 著者の『アーモンド』という作品は2020年本屋大賞翻訳部門1位でしたので、ご存知のかたも多いかと。衝撃の感動作でもあるこちらの本も、合わせておすすめします。



snowy

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