スウェーデンのちょっとステキな習慣「FIKAフィーカ」をあなたの日常に
FIKAフィーカとは
FIKAフィーカとはお茶時間やコーヒー休憩を意味します。
スウェーデンを訪問すると頻繁に耳にする言葉です。コーヒーと一緒に甘いお菓子やパンをつまんで談笑したり、1人時間を楽しむようなイメージで使います。
コーヒーはスウェーデン語でKAFFIカッフィ。上下ひっくり返えしFFI+KAフィッカ、フィカ、フィーカ・・・これがFIKAフィーカの語源と言われています、面白いですね。
ちなみに北欧の1人当たりのコーヒー消費量が世界でもトップクラスだということはご存じでしたか?
2022年統計では上位5位以内に北欧勢が3カ国も占めています。
このことから北欧とコーヒーが暮らしに根付いていることがわかると思います。
スウェーデンで友人と会うときは必ずフィーカします。街に繰り出せばカフェでフィーカを楽しんでいる老若男女、公園のベンチでコーヒー片手に子どもを見守るパパママを見ることができるかも知れません。
世界の一人当たりコーヒー消費量/全日本コーヒー協会ホームページ「統計資料」より
https://coffee.ajca.or.jp/data
スウェーデンで体験した3つのFIKAフィーカ
・森でFIKAフィーカ
北欧を旅する時ここぞとばかりに予定を詰め込んでしまいます。
この時もスウェーデンをもっと知りたいと相当欲張りなスケジュールで挑みました。
友人と会う約束をしていましたが、小間切れの時間の夕方にお茶をする程度しかありませんでした。
その時友人に「OK、お茶しましょう」と連れられたのが、森だったのです。
街中のカフェに行くものだと思い込んでいましたので、車のトランクからピクニックセットが出てきたときは、同行した友人と顔を見合わせて驚きました。
「スウェーデンを知りたいのなら森に行かなくてどうするの?これが私たちの暮らしですよ」と、話を聞きながら池のほとりの切り株に腰かけてフィーカしました。
北欧の夏は、夜の9時を過ぎても明るく、太陽は時間をかけゆっくり沈みます。
湿り気を帯びた森の匂いを感じながらいつまでも続くオレンジ色の空を眺め、無言でコーヒーを飲んだことは大切な思い出です。スウェーデン流の暮らしの楽しみ方に一歩近づいた瞬間だったかもしれません。
・オフィスのFIKAフィーカ
スウェーデンでは会社でもフィーカすることは事前に調べて知っていました。日本の企業でもよくあるスタイルの「アレ」だろうと想像をしていました。
大抵のスウェーデン企業は午前と午後に一回ずつフィーカ時間が設けられ、これにランチタイムも加わります。それでいて残業はほぼ皆無で、仕事が終わればさっさと家に帰宅すると言うではありませんか。
日本人からすると「そんなに休むの?」と思ってしまうかも知れません。
しかし企業でフィーカすることはエビデンスを基に行われています。人間の脳は継続的に作業をするより、適度に休息を挟むことで効率が上がり、疲れにくくなることは様々な研究でも証明されています。
フィーカが効率的な働き方に役に立つことは理解できました。
終業時間が短く真っすぐに帰宅するような文化で、同僚とのコミュニケーションは円滑なのか?と疑問に思い、日本の”飲みにケーション”について話しました。
「仕事のためなのにどうして終業時間内にしないのですか?コミュニケーションならFIKAすればいいじゃない?」と目を丸くして不思議がられたことは今でも笑い話です。
フィーカは効率化とコミュニケーションの二つの利点によって企業でも積極的に取り入れられています。
余談ですが、地方議員の政党が集まる機関でもインタビューしたことがあります。そこのフィーカルームが政党を超えてみんながあつまり話をする場になっている事に、スウェーデン社会の成熟さを感じました。
・はじめましてのあいさつ代わりに
北欧取材でお宅訪問する際、はじめましてでもフィーカに誘われます。
「Ska
vi fika?(スカ ヴィ フィーカ)」お茶にしない?と気軽な感じでフィーカします。特別に準備されたおもてなしではありません。コーヒーと甘いおやつ、時には手作りのスイーツが並ぶこともありますが、スウェーデン人の日常にふらっと飛び込むような気軽さです。
1日に何件も訪問する場合は、つい人懐こさが嬉しくて初めから飛ばしてしまうと後々お腹がタプタプになり厳しいフィーカになってしまうのでセーブするよう気を付けています。
初めての訪問先はお互い緊張しがちですが、フィーカを挟むとまるで昔からの知り合いのようにゆったりとした時間を過ごせるから不思議です。
こんな時フィーカには、リラックスし互いをよく知るコミュニケーションツールの役目が強いと感じます。
日本でもやってみよう!スウェーデン流FIKAフィーカタイムの過ごし方
ストックホルム郊外に住む知人の家のベランダで、ゆっくり沈む夏の夕日を見ながらフィーカを楽しんだ時のことです。家でフィーカする時間は、せわしなく過ぎる日常の中で自分を振り返る時間になると彼女は言いました。黄昏時のベランダフィーカはあまりにもここちよく、彼女と話を終えた後も1人、色々な思いを馳せながら夕日をぼんやり眺めてすごしました。
いきなり毎日フィーカする!と意気込んでも日本の暮らしに合わないかも知れません。
まずは、行動することから始めるのはいかがでしょう。
どんなに忙しい人でも、1週間の中で30分の時間を捻出することは可能だと思います。
無理に”北欧らしく”する必要はありません。
お気に入りのカップ&ソーサーを用意し、自分のためにコーヒーを淹れます。手触りのよいふかふかのクッションとサイドテーブルにはキャンドルを灯し、甘いおやつを頬張れば”ちょっとよい時間”になるのではないでしょうか。
初めはただコーヒーを飲むだけになるかもしれませんが、なんとなく習慣になる頃には、あなたにとって自分を満たす大切な時間になると思います。
こなれてきたら外に繰りだし、こだわりのカフェを見つけたり、公園でフィーカしたり、そんな時間を誰かと共有したり…
単なるコーヒーブレイクではなく、思考の整理の時間やリフレッシュ、友人や同僚と過ごす時にはコミュニケーションアップにもなるフィーカ。まずは自分から、そしてその周りからスウェーデン流FIKAフィーカを浸透させてはいかがでしょうか。