11月の本『ぼくの宝物絵本』
空気も澄んだ秋晴れの日は、紅葉がいちだんときれいですね。
先日、絵本を10冊ほど選書する機会があり、なつかしい絵本から今人気の絵本まで、ひさしぶりにじっくり味わいました。
今月は絵本の世界を広げてくれる1冊を紹介します。
『ぼくの宝物絵本』 河出文庫
著者 穂村 弘
出版社 河出書房新社は
発行年 2017 (単行本は2010年に刊行され、2017年に文庫化されたものです)
10年以上前に雑誌『MOE』で連載していた絵本の紹介をまとめたもので、単行本化を経て、文庫化された本書。
文庫本ですが、紙質が良く、絵本のカラー写真がとてもきれいです。そして酒井駒子さんが描いた表紙の絵も印象的で惹かれます。
まずは、この本はただの絵本の紹介本とは違いますよ、と言いたいです。それはもう、著者が穂村弘さんだから。
ユニークな視点と感覚を言葉にし、それがとても面白くて、その言葉の魅力に、著作を読むたびに衝撃を受けるのです。
穂村さんが会社員だった頃、仕事のつらさから逃げる方法として絵本を買い始めたとのこと。そんな時、1冊の絵本と出会い、「これは子どもだけのものじゃない」「僕のための本だ」、と思ったという言葉があり、それは本当に『宝物絵本』だなぁと、その強烈な出会いをうらやましく思いました。
穂村さんの言葉の手にかかれば、絵本の世界がぐっと広がること間違いなしです。
どこを取っても面白くて気楽に読めますので、ぜひ手に取ってみてください。
そして、この本がきっかけで、新しい絵本との出会いが生まれたら嬉しいです。
付け加えておきますと、著者の穂村弘さんは現代短歌を代表する歌人でもあります。
歌人としての穂村さんに興味を持たれたら、歌集も多数出されていますし、「ほむほむのふむふむ」という、かわいらしいネーミングの短歌の深夜ラジオ番組も月1で持たれていますよ。
snowy