1月の本『しろいうさぎとくろいうさぎ』
本のコラムを書かせていただき、はや1年。
毎月どんな本をお届けしよう、と考えるのが楽しいです。
本棚に新しい本を並べていくように、今年も毎月1冊ずつご紹介させて頂きます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年の1冊目は干支にちなんで、「うさぎ」の登場する本にしよう、と心に秘めて新年を迎えました。「ミッフィー」や「ピーターラビット」は長く愛されていますね。
これからご紹介する絵本も長く長く読み継がれているものです。
『しろいうさぎとくろいうさぎ』
文、絵 ガース・ウイリアムズ
訳 まつおかきょうこ
出版社 福音館書店
発行年 1965
森のなかで暮らすしろいうさぎとくろいうさぎはいつでも一緒。
「ぴょん、ぴょんの、ぴょーん」でお互いの背中のうえをとびこえるうまとび遊び。とても楽しそう。
楽しく遊んでいると、くろいうさぎが悲しそうな顔をしています。
「どうかしたの?」 しろいうさぎが聞くと、「うん、ぼく、ちょっとかんがえてたんだ」 くろいうさぎが答えます。
また楽しく遊び始めると、くろいうさぎが悲しい顔をするので、この問答が数回くり返されます。くろいうさぎはいったいどんなことを考えていたのでしょう・・・。
二ひきの会話のやり取りに愛らしさがあふれていて、遊びの名前もいちいちかわいらしい。シンプルな言葉のなかに、ユーモアも優しさもつまっていて、これは翻訳の言葉選びが素敵だからなのでしょう。
絵は、まるで水墨画のような落ち着いたトーンの色彩で、そのなかに、たんぽぽやきんぽうげの黄色、ひなぎくの白が鮮明に描かれています。くるくる変わるうさぎの表情も見ものです。
うさぎ年の始まりにぴったりの、ほんわかと優しい気持ちになれる幸せな1冊です。
ぜひ、読んでみてください。
「ぴょん、ぴょんの、ぴょーん」
このフレーズが気に入ってしまいました。
新しいことを始めるとき、思いきって一歩踏み出せそうな、そんな気持ちになります。
snowy